「産業廃棄物の処理、いつも同じ業者に任せているから大丈夫」
「細かいルールはよくわからないけど、専門の業者がやってくれているはず」
長崎県佐世保市で建設業を営む社長様、こんにちは。日々のお仕事、本当にお疲れ様です。忙しい毎日の中で、現場から出る廃棄物のことまで、なかなか手が回らないのが正直なところかもしれません。
しかし、その「お任せします」が、ある日突然、会社の存続を揺るがす大きなリスクになる可能性があるとしたら…?
廃棄物の処理は、ただの「ゴミ捨て」ではありません。そこには「廃棄物処理法」という厳しい法律と、「排出した人(事業者)が最後まで責任を持つ」という、非常に重い「排出事業者責任」が存在します。
この記事では、特に建設業に携わる皆様に向けて、この「排出事業者責任」について、法律の難しい話は抜きにして、「つまり、どうすればいいのか?」が分かるように、具体的なアクションを交えながら徹底的に解説します。
「知らなかった」では済まされない、大切な会社と従業員、そして私たちのかけがえのない郷土・佐世保の美しい環境を守るために、ぜひ最後までお付き合いください。
ご依頼をご検討の際は、以下からお気軽にお問い合わせください。

そもそも「排出事業者責任」って何?超キホンを解説
排出事業者責任の定義
まず、一番大事なルールからお伝えします。それは、事業活動で出たゴミ(産業廃棄物)は、それを出した事業者が、責任をもって正しく処理しなければならない」ということです。
これが「排出事業者責任」の基本中の基本です。
「うちは専門の処理業者にお金を払ってお願いしているから、関係ないでしょ?」
そう思われた社長様、ここが一番の落とし穴です。廃棄物処理法では、たとえ処理を他の業者に委託したとしても、ゴミを出したあなたの会社の責任は一切なくなりません。
もし、委託した業者が山の中に不法投棄したり、ルール違反の処理をしたりした場合、「知らなかった」「任せていた業者が勝手にやったこと」という言い訳は一切通用しないのです。それどころか、ゴミを出したあなたの会社にも、重い罰則が科される可能性があります。
これが排出事業者責任の最も怖いところであり、絶対に知っておかなければならないポイントです。

【建設業は特に注意!】元請け業者が負う責任とは?
建設現場では、元請け、下請け、孫請け…と、たくさんの会社が関わって仕事を進めますよね。そうなると、「このコンクリートがらは、どの会社が出したゴミ?」というのが分かりにくくなりがちです。
そこで法律は、建設工事で出た廃棄物については、原則として「元請業者」が排出事業者となり、すべての処理責任を負うと定めました。
つまり、どういうこと?
元請業者であるあなたは、自社が直接出したゴミはもちろん、下請け業者が工事で出したゴミについても、すべて自分の会社の責任として、正しく処理する義務があるということです。
下請け業者が勝手にそのへんにゴミを捨ててしまったら? その責任は、元請けであるあなたの会社にドーンと降りかかってくるのです。
下請け業者に処理を任せる場合の注意点
もちろん、下請け業者に廃棄物の運搬や処分を任せること自体が禁止されているわけではありません。しかし、そのためには非常に厳しい条件があります。
- その下請け業者は、「産業廃棄物処理業の許可」を持っていますか?
- あなた(元請け)と下請け業者との間で、正式な「委託契約書」を交わしていますか?
この2つが揃っていなければ、下請け業者に処理を任せることはできません。もし無許可の下請け業者に「これ、持っていって捨てといて」と安易に依頼してしまえば、それだけで法律違反になってしまう可能性があります。
現場でのゴミの保管についても、元請けと下請けの両方に管理責任があるとされているため、「下請けのゴミだから知らない」は通用しないと覚えておきましょう。
これだけは守れ!社長が知るべき4つの絶対義務
では、排出事業者として具体的に何をしなければいけないのでしょうか?難しい法律用語は横に置いて、事業主としてやるべきことを4つのポイントに絞って解説します。
義務1:ちゃんと処理する義務
当たり前ですが、出たゴミは法律のルールに従って、きちんと処理しなければなりません。自社で処理施設を持っている場合はその基準に従い、持っていない場合は、次の「委託のルール」を守って専門の業者にお願いする必要があります。
義務2:正しい業者に、正しく委託する義務
ここが最も重要です。業者に委託する際には、絶対に守るべき2つのルールがあります。
- 「許可」を持つ業者に頼むこと
産業廃棄物の収集運搬や処分は、誰でもできるわけではありません。都道府県などから正式な「許可」を得た業者でなければ、その仕事はできません。委託する際は、必ず相手の許可証のコピーをもらい、「どんな種類の廃棄物」を「どこで」処理する許可を持っているのか、そして「有効期限」は切れていないか、自分の目で確認してください。 - 必ず「書面」で契約すること
「いつも頼んでいるから」「電話一本でお願いしている」というのは、アウトです。廃棄物の処理を委託する際は、必ず事前に、書面で委託契約を結ばなければなりません。
さらに、「運ぶ会社」と「処分する会社」が別々の場合は、それぞれと直接契約を結ぶ「二者間契約」が原則です。運搬会社に処分のことまで丸投げで契約することはできません。
この委託基準に違反すると、3年以下の懲役または300万円以下の罰金(またはその両方)という、非常に重い罰則が待っています。
義務3:ゴミの旅を記録する「マニフェスト」を管理する義務
「マニフェスト(管理票)」とは、あなたの会社から出た廃棄物が、どんなルートで、誰によって運ばれ、最終的にどこで、どのように処分されたのかを記録・管理するための伝票のことです。
このマニフェストが、あなたの会社がきちんと廃棄物を処理したことの「証明書」になります。
- 業者にゴミを渡すときに、必ずマニフェストを交付する。
- 処理が終わったら、業者から処理完了の報告が記載されたマニフェストが返送されてくるので、それを受け取る。
- 交付したマニフェストと、返ってきたマニフェストは、セットで5年間、会社に保管する。
- 年に1回、その年のマニフェスト交付状況をまとめて、佐世保市に報告する。
これらの義務を怠ったり、マニフェストに嘘の情報を書いたりすると、たとえゴミ自体は正しく処理されていたとしても、1年以下の懲役または100万円以下の罰金が科せられます。
弊所へ過去にご相談いただいたケースで、佐世保市へのマニフェストの報告を失念していたというものがありました。
その際の対応は結局のところ行政機関のさじ加減になってきますが、今回記事にした内容を丁寧にお伝えしたところ、今後の報告は絶対に忘れないようにするとのことでした。電子マニフェストにすると報告が不要になるのですが、導入していない業者さんもあるので、急に整えるのはなかなか難しいところです。
余談でした(*^^)

義務4:現場の外で保管するときの「届出」義務
工事現場が狭いなどの理由で、発生した産業廃棄物を一時的に会社の資材置き場など、現場の外で保管することもあるかと思います。 このとき、保管場所の面積が300平方メートル以上になる場合は、あらかじめ佐世保市(または県)に「事前届出」をする義務があります。この届出を怠ると、6ヶ月以下の懲役または50万円以下の罰金が科される可能性があります。
以前、解体工事業をさせているお客様と電子マニフェストの導入に関してお話した際、年に一回の佐世保市への報告がなかったことが発覚したときはヒヤッとしました。「うちもうっかりしてた!」という方は、まずは行政機関に相談してみてください。
うちはずっとこれでやってるから大丈夫!というかたも、これを機に一度見直してみてください。
本当にあった怖い話…違反すると会社はどうなるのか?
主な違反行為のパターン
「法律の話は分かったけど、実際に捕まったりするの?」
そう思われるかもしれません。しかし、違反は決して他人事ではありません。ここでは、よくある違反パターンと、実際に佐世保市で起きた重大な事例をご紹介します。
よくある違反パターンと厳しい罰則
- 不法投棄: 自ら捨てるのはもちろん、業者に指示した場合や、委託した業者が不法投棄した場合も責任を問われます。
罰則:5年以下の懲役または1,000万円以下の罰金。法人の場合は、なんと最大3億円以下の罰金という天文学的な額になることもあります。 - マニフェストの不交付・虚偽記載: 上で説明したマニフェストの義務違反です。
罰則:1年以下の懲役または100万円以下の罰金。 - 無許可業者への委託: 許可がないと知らなかった、では済まされません。
罰則:5年以下の懲役または1,000万円以下の罰金。 - 契約書なしでの委託: 口約束での依頼は違反です。
罰則:3年以下の懲役または300万円以下の罰金。
罰金刑を受けたとします。「お金を払えば終わり」ではありません。その事実がきっかけで、会社の「建設業許可」が取り消されたり、公共工事の指名停止処分を受けたりと、事業の根幹を揺るがす事態に発展する可能性があります。まさに、ドミノ倒しのように事業が立ち行かなくなるのです。
【佐世保市の事例】一つの処分場の崩壊が招いた悲劇
これは、実際に長崎県佐世保市で起きた話です。
ある産業廃棄物処理業者A社は、市内で最終処分場を運営していました。しかし、ある時、その処分場の法面が崩壊。A社は応急処置はしたものの、根本的な対策は行いませんでした。
その後も、台風や大雨のたびに崩落が繰り返され、市はA社に対して「許可された容量を超えてゴミが埋められている」ことを確認。何度も「ゴミを撤去しなさい」と警告しましたが、A社はこれを無視し続けました。
その結果、どうなったか。
最終的に、市はA社の産業廃棄物処分業の許可を取り消しました。そして、社長個人にも、危険な状態のゴミを撤去するよう「措置命令」を出したのです。しかし、A社も社長も、その命令に従いませんでした。
万策尽きた市は、市民の安全を守るため、「行政代執行」に踏み切ります。これは、A社に代わって、市が税金を使って強制的に危険なゴミを撤去するというものです。
許可された量の実に3倍近く、約11万立方メートルもの廃棄物が不法に埋め立てられていたこの現場の撤去にかかった費用は、なんと総額1億8,102万1,097円。この莫大な費用は、当然、A社と社長に請求されました。
一つの会社のルール違反が、取り返しのつかない環境破壊と、巨額の税金の投入という事態を招いたのです。これは処理業者の話ですが、もしあなたが委託した業者がこのような事態を引き起こした場合、排出事業者として無関係でいられるでしょうか?答えは「ノー」です。
明日からできる!会社を守るための具体的なアクションプラン
さて、ここまで排出事業者責任の重さと怖さについてお話ししてきました。では、どうすれば自社をリスクから守れるのでしょうか?今日からすぐに始められる、具体的な対策をご紹介します。
アクション1:処理業者の選び方を見直す
- 許可証は持っているか?コピーをもらってファイルする
- 有効期限は切れていませんか?
- あなたの会社が出すゴミの種類(例:紙くず、廃プラスチック類)の許可を持っていますか?
- 見積書の金額は、極端に安すぎないか?
- 適正な処理には、適正なコストがかかります。安すぎる料金の裏には、不法投棄などのリスクが隠れているかもしれません。
- 実際に処理工場を見に行く(現地確認)
- 「百聞は一見に如かず」です。自分の目で、廃棄物がきちんと処理されているか、工場は清潔か、従業員の対応はしっかりしているかを確認しましょう。優良な業者なら、快く見学させてくれるはずです。
- 「優良産廃処理業者認定制度」の認定を受けているか?
これは、国が「この業者は特に優良ですよ」とお墨付きを与えている制度です。業者選びの際の、非常に信頼できる指標になります。
アクション2:マニフェスト管理を徹底する
マニフェストは、あなたの会社のアリバイであり、お守りです。
- 交付したマニフェストの控え(A票)を必ず保管する。
- 処理が終わったら、B2票、D票、E票がきちんと返送されてくるか期限を管理する。
- 返送された伝票とA票をホチキスで留め、5年間ファイリングする。
- 年1回の市への報告を忘れない。(カレンダーに印をつけておく!)
【オススメ】電子マニフェストの導入
「書類の管理が面倒くさい!」という方には、電子マニフェストの導入を強くお勧めします。パソコンやスマホで簡単に登録・管理ができ、保管スペースも不要。面倒な市への年次報告も不要になります。業務効率が格段にアップし、ヒューマンエラーも防げるので、一石二鳥です。
アクション3:社内のルールと担当者を決める
「廃棄物のことは、現場監督に任せている」では不十分です。会社として、この問題に取り組む体制を作りましょう。
- 産業廃棄物の管理担当者を正式に決める。
- 「このゴミはこのカゴへ」など、現場での分別のルールを徹底する。
- 委託先の業者リストを作成し、契約書や許可証を一元管理する。
- 社内で簡単な勉強会を開き、「排出事業者責任」の重要性を全従業員で共有する。
アクション4:定期的に自主チェックを行う
年に一度は、自社の体制を振り返る日を設けましょう。
- マニフェストの保管状況は完璧か?
- 契約書や許可証の期限は切れていないか?
- 委託先の業者に何か変わったことはないか?(定期的に訪問するのも有効)
まとめ:廃棄物処理は、会社の未来を守る「投資」です
産業廃棄物の排出事業者責任は、建設業を営む上で避けては通れない、非常に重要な義務です。その責任は、処理を業者に委託したからといって、決して軽くなるものではありません。
佐世保市の事例が示すように、たった一度のルール違反が、会社の信用を失墜させ、取り返しのつかない事態を招く可能性があります。
しかし、今回ご紹介したような対策を一つひとつ着実に実行していけば、リスクを大幅に減らすことができます。適正な業者選び、契約書の締結、マニフェストの管理、社内教育。これらは単なる「コスト」や「面倒な作業」ではありません。会社の未来を守り、法令を遵守する誠実な企業として社会的な信頼を勝ち取るための、大切な「投資」なのです。
美しい佐世保の環境を次の世代に引き継いでいくためにも、私たち事業者が率先して、廃棄物に対する意識を高めていきましょう。
こんなことでお困りではありませんか?
この記事を読んで、少しでも不安に思われた社長様。以下のようなお悩みはありませんか?
「産業廃棄物収集運搬業の許可申請をしたいけど、要件や書類が複雑すぎて手が止まっている」
「これから建設業を始めるが、廃棄物について何から手をつけていいか分からない」
「自社で廃棄物を運搬したいが、許可が必要なのかどうか判断できない」
一つでも当てはまることがあれば、それは専門家に相談するサインかもしれません。問題が起きてからでは手遅れです。
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