「建設業許可を取りたいけど、なんだか難しそう…」
「『経営業務の管理責任者』って言葉、聞いたことあるけど、よくわからない…」
こんなお悩みをお持ちの社長、いらっしゃいませんか?
建設業の許可を取るためには、クリアしなければならないハードルがいくつかあります。その中でも特に重要なのが、「経営業務の管理責任者」、通称「経管(ケイカン)」の存在です。正式には常勤役員等と言ったりもしますが、混乱するのでここでは「経管」で統一します。
この記事は、そんな社長のために書きました。
この記事を読んでほしい人
- 建設業の許可を取りたいけど、何から手をつけていいかわからない社長
- 「常勤役員等、経営業務の管理責任者(経管)」という言葉は聞いたことがあるけど、具体的に何を指すのか、誰がなれるのかイマイチわからない方
- 自分の会社が経管の条件を満たせるのか、不安に思っている経営者の方
- なるべく専門用語を避けて、わかりやすい言葉で解説してほしいと思っている方
- そのうち許可を取ろうと思っていて、確実に準備を進めていきたい方
この記事を読んで得られる知識
- 「経営業務の管理責任者(経管)」がなぜ必要なのか、その役割がわかります。
- どんな人が「経管」になれるのか、具体的な条件がわかります。
- 自分の会社の場合、誰が「経管」になれそうか、見当がつくようになります。
- 「経管」の条件を証明するために、どんな書類が必要になるのかがわかります。
- 令和2年の法律改正で、条件がどう変わったのか、ポイントがわかります。
この記事を読めば、「経管」に関する基本的な知識はバッチリ! 建設業許可取得への道筋が見えてくるはずです。少し長くなりますが、社長の「知りたい!」にトコトンお答えできるよう、丁寧に解説していきます。ぜひ最後までお付き合いください(^^)
「経営業務の管理責任者(経管)」ってナニ? なぜ必要なの?
まず、そもそも「経営業務の管理責任者(経管)」とは何なのでしょうか?
カンタンに言うと、「建設業の経営について、きちんと経験を積んだプロフェッショナル」のことです。
建設業のお仕事は、一つひとつの工事がオーダーメイドで、契約金額も大きくなりがちです。工事期間も長くなることが多く、その間、会社が安定して経営を続けられるかどうかは非常に重要です。もし、工事の途中で会社が倒産してしまったら、注文主はもちろん、下請け業者さんや材料屋さんなど、多くの関係者に迷惑がかかってしまいます。
そこで国は、「建設業の許可を与えるからには、その会社にはちゃんと経営をマネジメントできる人がいてほしい」と考えました。それが、「経営業務の管理責任者」を置かなければならない、というルールの背景です。つまり、「うちの会社には、建設業の経営をしっかりやった経験のある人がいますよ!」ということを証明するのが、この「経管」の役割なのです。
この「経管」は、原則として会社の主たる営業所に常駐している必要があります。
社長注目! あなたも「経管」になれる? 主な3つのルート
では、どんな人が「経管」になれるのでしょうか?
大きく分けて、いくつかのパターンがあります。ここでは、代表的な3つのルートをご紹介します。

ルート1:王道!「建設業の経営、5年以上やってます」
これが一番シンプルでわかりやすい条件です。多くのケースがこちらに該当し、ここを目指して5年間の実績を積み上げる方が1番多いです。
以下のどちらかに当てはまる方が対象です。
- 法人の役員として、建設業の経営に5年以上たずさわった経験がある。
「役員」とは、具体的には株式会社の取締役や、合同会社の業務執行社員などを指します。監査役や監事は原則として含まれません。 - 個人事業主として、建設業を5年以上営んできた経験がある。
ご自身で建設業を開業し、5年以上事業を続けてきた方がこれにあたります。
「常勤」であることも大事なポイント!
「経管」になる人は、その会社で「常勤」で働いている必要があります。
「常勤」とは、カンタンに言えば、「毎日ちゃんと会社に来て、決められた時間しっかりお仕事をしている」ということです。例えば、以下のような場合は常勤と認められない可能性があるので注意が必要です。
- 自宅が会社から遠すぎて、毎日通うのが明らかにむずかしい。
- 他の会社でも「経管」になっていたり、別の法律で専任が求められる役職についていたりする(ただし、同じ営業所で専任技術者を兼ねることは可能です)。
- お給料が社会通念上、生活できないほど極端に低い。
どんな書類で「5年以上の経営経験」を証明するの?
口で「5年やってます!」と言うだけではダメ。ちゃんと書類で証明する必要があります。
代表的な証明書類は以下の通りです(役所によって求められる書類が異なる場合があるので、事前に確認しましょう)。
- その期間、役員だったことがわかる「登記事項証明書(登記簿謄本)」。
- 経営していたことを示す、過去5年分の「工事の契約書、注文書、請求書控えとそれに対応する入金が確認できる通帳」など。年間数件程度は必要です。
- 確定申告書の控え(法人税申告書)。
- 過去5年分の「確定申告書の控え(第一表と第二表、所得が事業所得になっているもの)」。
- 経営していたことを示す、過去5年分の「工事の契約書、注文書、請求書控えとそれに対応する入金が確認できる通帳」など。
【超重要!】工事の契約書や請求書、捨てちゃダメ!絶対!
これらの書類は、あなたが実際に建設業を経営してきた「証拠」です。将来、建設業許可を取りたい、あるいは更新したいと考えたときに必ず必要になります。請求書だけでなく、その工事代金がちゃんと入金されたことがわかる通帳のコピーもセットで保管しておきましょう。
「昔の書類だから、もういらないや」と捨ててしまうと、後で泣きを見ることになるかもしれません。大切に、整理して保管しておきましょう!

ルート2:役員じゃなかったけど…「実質、経営やってました!」(経営業務の管理責任者に準ずる地位)
「役員ではなかったけれど、実質的に経営を任されていた」という方も、「経管」になれる可能性があります。
具体的には、建設業を営む会社で、役員に次ぐようなポジション(例えば、執行役員や支店長など)で、経営業務を総合的に管理・執行した経験が5年以上ある方です。
ただし、この場合は「本当に経営を任されていたのか?」という点をしっかり証明する必要があります。
例えば、以下のような書類が求められることがあります。
- 取締役会の決議によって、具体的な経営権限があなたに委ねられたことを示す書類(議事録など)。
- 組織図(あなたが役員に準ずるポジションだったことがわかるもの)。
- 実際に経営業務を行っていたことを示す、契約書や請求書など。
このルートは、証明が少し複雑になる場合があるので、事前に役所や専門家によく相談することをおすすめします。
ルート3:チームで乗り越える!「経験ある役員」+「頼れるサポーター3人」(経営業務の管理体制)
これは令和2年の法改正で新しく加わった方法で、一人のスーパーマンに頼るのではなく、「組織として経営管理できる体制」があればOKという考え方です。中小企業の社長にとっては、少しハードルが高いかもしれませんが、選択肢の一つとして知っておきましょう。
このルートでは、以下の両方を満たす必要があります。
(A) 中心となる常勤役員が、以下のどちらかの経験を持っていること:
- 建設業の役員経験が2年以上あり、かつ、役員としての経験、または役員に次ぐような管理職(財務管理・労務管理・業務運営のいずれかを担当)としての経験を合わせて5年以上ある。
例:A建設で2年間取締役 + その後B建設(またはA建設のまま)で財務部長を3年間経験 → 合計5年 - 役員としての経験が5年以上あり、かつ、そのうち建設業の役員経験が2年以上ある。
例:C商事で3年間取締役 + その後D建設で2年間取締役 → 合計5年
(B) 上記(A)の役員を直接サポートする専門家として、以下の3つの役割を担う人をそれぞれ社内に置くこと:
- 財務管理の経験者:会社のお金の流れを管理した経験が5年以上ある人。
- 労務管理の経験者:従業員の採用や給与計算、社会保険手続きなど、人の管理をした経験が5年以上ある人。
- 業務運営の経験者:工事の進め方や契約管理など、実際の業務運営に関わった経験が5年以上ある人。
【注意点!】サポーター3人の経験について
このサポーター3人の「5年以上の経験」は、建設業許可を申請する会社での経験でなければなりません。他の会社での経験はカウントできないので注意が必要です。
また、一人が複数の役割の経験を兼ねている場合は、それぞれの経験年数としてカウントできる場合がありますが、このあたりも個別のケースによりますので、専門家への確認が必須です。
この「チーム体制」のルートは、書類も多くなり、証明も複雑になりがちです。「うちはこれでいけるかも?」と思っても、自己判断せずに必ず専門家に相談しましょう。

そもそも「役員」って誰のこと? どんなポジションならOK?
「経管」の条件でよく出てくる「役員」という言葉。具体的にはどんな人を指すのでしょうか?
一般的に「役員」として認められるのは…
- 株式会社の取締役
- 合同会社などの業務を執行する社員
- 指名委員会等設置会社の執行役
- 法人格のある各種組合などの理事
これらに準ずる人も含まれる場合があります。
逆に、原則として「役員」に含まれないのは…
- 監査役
- 監事
- 会計参与
- 単に「会長」「専務」といった肩書がついているだけの従業員
- 顧問や相談役、事務局長など
ただし、「執行役員」という肩書の方でも、取締役会などから正式に経営に関する具体的な権限を委譲されていれば、「経営業務の管理責任者に準ずる地位」として認められる可能性があります。肩書だけでなく、実質的な権限や役割が重要視されるということです。
個人事業主の社長さんへ:あなたが経管になれない場合の裏ワザ
もし個人事業主の社長さんご自身が、まだ5年以上の経営経験がない…という場合でも、諦めるのはまだ早いかもしれません。
「支配人」を登記するという方法があります。
「支配人」とは、事業主に代わって、その営業に関する一切の裁判上または裁判外の行為をする権限を持つ人のことです。お店の店長さんのようなイメージで、法的に事業主の代理人として認められる立場です。
この「支配人」として登記された人が「経管」の経験要件を満たしていれば、事業主ご本人に経験がなくても、建設業許可を取得できる可能性があります。
ただし、支配人登記の手続きが必要になりますし、その支配人が「常勤」であることなど、他の要件もクリアする必要があります。
最近ルールが変わったってホント?(令和2年の法改正ポイント)
そうなんです。令和2年10月に建設業法が改正され、「経管」のルールも少し変わりました。
社長に関係がありそうな主なポイントは2つです。
1.経営経験の「業種」は問われなくなった!
以前は、例えば「大工工事」の許可を取りたければ、「大工工事」の経営経験が必要、というように、許可を取りたい業種と経営経験の業種が一致している必要がありました。
しかし改正後は、建設業全体の経営経験があればOKになりました。つまり、過去に「塗装工事」の会社を5年間経営していた経験があれば、その経験で「大工工事」の許可申請ができるようになったのです。これは大きな変化ですね!
2.「チームで乗り越える」方法(ルート3)が新しくできた!
先ほどご紹介した「経験ある役員+頼れるサポーター3人」という体制で経管の要件を満たす方法が、この法改正で新たに導入されました。
これらの改正によって、以前よりも「経管」の要件を満たしやすくなったケースもあります。

もし「経管」がいなくなったら…?
「経管」は、建設業許可を維持するために必須の存在です。
もし、会社に「経管」の条件を満たす人がいなくなってしまったら、大変なことになります。
具体的には、建設業許可が取り消されてしまう可能性があるのです。
社長が「経管」を兼ねている場合は、社長さんご自身が健康で仕事を続けられることが大前提です。
もし社長さん以外の従業員が「経管」になっている場合は、その方が退職してしまったりすると、すぐに代わりの「経管」を見つけなければなりません。空白期間ができてしまうと、許可が維持できなくなるリスクがあります。
「経管」のポジションは、会社にとってそれだけ重要な役割を担っているということを、しっかり覚えておきましょう。
まとめ:建設業許可への第一歩!社長さんが今すぐやるべきこと
ここまで、「経営業務の管理責任者(経管)」について、できるだけわかりやすく解説してきました。
最後に、建設業許可の取得を目指す社長が、今すぐできることをまとめておきましょう。
- 自分の会社の状況をチェック!
・「経管」になれそうな人はいますか? 社長さんご自身、あるいは他の役員さんや従業員さんで、上記で説明したような経験を持つ人はいませんか?
・どのルート(王道ルート、準ずる地位ルート、チーム体制ルート)ならクリアできそうか、当たりをつけてみましょう。 - 重要書類は「宝物」!今すぐ整理・保管を!
・過去の工事の契約書、注文書、請求書控え、入金がわかる通帳のコピー。
・確定申告書の控え(法人なら法人税、個人事業主なら所得税)。
「あれ?ウチの場合はどうなんだろう?」と思ったら、迷わず専門家へ!
建設業許可のルールは、会社の状況によって解釈が微妙に異なることもあります。特に「経管」の要件は、許可が取れるかどうかの大きな分かれ道。
「たぶん大丈夫だろう」と自己判断して進めてしまうと、後で「やっぱりダメでした…」なんてことになりかねません。
少しでも不安な点や、わからないことがあれば、私たちのような建設業許可専門の行政書士に相談するのが一番の近道です。
建設業許可でお困りの社長さんへ
「うちの会社でも建設業許可、取れるのかな?」
「経管の条件、ウチは満たせているんだろうか…」
「必要な書類を集めるのが大変そうで、途方に暮れている…」
そんな社長のお悩みを、行政書士が解決するお手伝いをします!
当事務所では、建設業許可の申請手続きに関するご相談を積極的にお受けしております。
社長や会社のご状況を丁寧にお伺いし、許可取得の可能性や、そのためには何が必要か、といった具体的なアドバイスをさせていただきます。
初回のご相談(1時間)は無料です。
「こんなこと聞いてもいいのかな?」なんて遠慮はご無用です。どんな小さな疑問や不安でも、どうぞお気軽にお話しください。
対応地域佐世保市を中心に長崎県・佐賀県全域
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