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【建設業許可】重任登記忘れていませんか?積み上げた経営経験「5年」が「2年」になってしまう落とし穴

こんにちは、長崎県佐世保市の行政書士、武藤です。

「ウチは創業して10年。ずっと俺が社長やってるから、経営経験はバッチリだ!」

そう思っている建設会社の社長さん、本当に大丈夫ですか?
その10年の経験、もしかしたら法律上は「2年」しか認められないかもしれません。

たった一つの手続きを忘れただけで、建設業許可が取れず、大きなビジネスチャンスを逃してしまう…。そんな恐ろしい事態が会社で現実に起こっています。

今回は、社長さんが見落としがちな「役員の任期」と「登記」のワナ、そしてそれが建設業許可の最重要ポイントである「常勤役員等」の要件にどう直結するのか、誰にでも分かるように徹底解説します。
※本来登記の相談は司法書士さんへ行いますが、今回は許可要件に絡むため、簡単に武藤の方で解説しています。詳しい内容や自社の状況について確認したい場合は司法書士さんへご相談ください。

弊所では許可を取る前に詳しい要件や自社の状況を一緒に確認できます。
1時間相談無料です。以下のお問い合わせフォームや公式LINEからお気軽にお問い合わせ下さい。

詳しい「常勤役員等」の要件や、他にも必要になる「営業所技術者」の詳しい要件はこちらで確認できます。

この記事を読んでほしい人

  • これから建設業許可を取りたい会社の社長さん、役員さん
  • 「常勤役員等」の要件でつまずいている方
  • 「役員の任期や登記なんて、会社を作った時以来気にしたことないな…」という方
  • 自分の会社の経営経験が、許可申請に使えるのか不安な方

この記事を読んで得られる知識

  • 建設業許可の心臓部、「常勤役員等」の役割がスッキリ分かります。
  • なぜ「役員の登記」が建設業許可の取得にこれほど重要なのか、その法的根拠が理解できます。
  • 会社の役員経験が、経管の要件として認められるかどうかをセルフチェックする方法が分かります。
  • 「登記忘れ」という時限爆弾を解除するために、社長が今すぐ取るべき具体的なアクションが分かります。
  • 許可取得をスムーズに進めるための、日頃からの会社運営のコツが身につきます。

時間がない社長さんへ!この記事の3行要約

  • 会社の役員には「任期」があり、任期が終わるたびに「役員を続けますよ」という登記(重任登記)が必要です。
  • この登記を忘れると、登記簿上は「役員じゃない人」扱いになり、その間の経営経験が建設業許可の審査で認められません。
  • 自分の会社の「定款」と「登記簿謄本」を今すぐチェックして、役員の任期と登記が最新の状態か確認しましょう!
目次

なぜ建設業許可に「経営のプロ」が必要なのか?

まず、大前提のお話から始めましょう。
なぜ、建設業許可を取るには「常勤役員等」という、なんだか難しそうな役職の人が必要なのでしょうか?

ものすごく簡単に言うと、経管とは「建設業の経営について、ちゃんと経験を積んだリーダー」のことです。

建設業は、一つの工事で動くお金が大きく、完成までに時間もかかり、多くの人が関わる、とても専門的で複雑なビジネスです。そのため、役所は「この会社は、お金の管理や人の手配、契約のリスクなどを分かっている経営のプロがちゃんと舵取りしていますか?」という点を確認したいのです。

その「経営のプロがいますよ」という証明が、この「常勤役員等」を会社に置くことなんです。そして、経管になるためには、原則として「建設業の会社で5年以上の役員経験」などが求められます。

ここまでは、多くの社長さんがご存知かもしれません。
問題は、この「5年間の役員経験」をどうやって証明するのか、という点にあります。

「経験」を証明する強力な公的書類、それが「登記簿謄本」

許可の審査で、役所はあなたの自己申告や記憶を信じてはくれません。
「私がこの会社の役員として、5年間経営してきました」という事実を、客観的で公的な書類で証明する必要があります。

それが、法務局で取得できる「登記事項証明書」です。

ここには、あなたの会社が設立されてから現在までの、
「いつ、誰が、取締役に就任したのか」
「いつ、誰が、取締役を辞めたのか」
といった情報が、すべて公式に記録されています。

許可の審査では、この登記簿謄本に「取締役」として名前が載っていた期間だけを、あなたの「役員経験」としてカウントするのです。

社長、あなたの会社の「役員の賞味期限」を知っていますか?

さて、ここからが本題です。
多くの社長さんが知らない、恐ろしいワナの話に入ります。

株式会社の役員(取締役)には、実は「任期」という賞味期限のようなものがあります。これは会社法で決められているルールです。

役員の任期って何年?

  • 原則は2年:法律上の基本ルールでは、取締役の任期は約2年です。
  • 最長10年までOK:ただし、株式を公開していない中小企業の多くは、会社の根本ルールである定款で、「役員の任期は10年とする」というように、最長10年まで自由に伸ばすことができます。

あなたの会社の役員の任期が何年になっているかは、会社設立の時に作った「定款」を見れば分かります。

任期が来たら、必ずやるべき「重任登記」

重要なのは、この任期が満了するたびに、たとえ同じ人が社長を続ける場合でも、
「任期が終わりましたが、引き続きこの人が役員を続けますよ」
という意思表示を、法務局に届け出て登記し直さなければならない、ということです。これを「重任登記」と呼びます。

この手続き、法律上の義務なんです。
仕事に追われて、ついウッカリ忘れがちですが、この「ウッカリ」が、数年後に取り返しのつかない事態を引き起こします。

10年社長をやったつもりが…経験年数「2年」の悲劇

ここに、A社長という方がいました。
10年前に「株式会社A建設」を設立し、がむしゃらに働いて会社を成長させてきました。役員の任期は、設立時に定款で「2年」と定めていました。

  • 10年前(設立時)
    社長が取締役に就任。この事実は法務局に登記されました。
    役員経験カウントスタート!
  • 8年前(設立から2年後)
    役員の任期が満了。A社長はもちろん社長を続けるつもりでしたが、忙しさのあまり「重任登記」の手続きをすっかり忘れてしまいました。
  • 8年前 ~ 現在
    A社長は、毎日社長として働いています。しかし、登記簿上では、A社長は「任期満了で役員を辞めた人」のまま、8年間が経過してしまいました。
    この8年間は、法律上「役員ではない人」が会社を運営していた、という恐ろしい状態になっているのです。
  • そして現在
    A社長は、満を持して建設業許可を申請しようと、登記簿謄本を取得しました。
    しかし、そこに書かれていたのは、
    「取締役 A野太郎 就任(10年前の日付)」
    「取締役 A野太郎 退任(8年前の日付)」
    という非情な記録…。

許可行政庁は、この登記簿謄本を見て、基本的にはこう判断します。
「A社長の役員経験は、設立から任期が満了するまでの最初の2年間だけですね。5年に足りないので、経管の要件を満たしていません。許可は出せません。」

A社長の10年間の血と汗と涙の経営努力は、たった一度の登記忘れによって、公的には「8年間のブランク」とされてしまったのです。

社長が今すぐやるべき「3つのアクション」

「うちの会社は大丈夫か…?」と、少しでも不安になった社長さん。
手遅れになる前に、今すぐ以下の3つのアクションを実行してください。

アクション1:会社の「定款」を探し出す!

まずは、あなたの会社の根本ルールが書かれた「定款」を探し出してください。会社設立時に作成し、公証役場で認証を受けた、大切な書類です。通常は、決算書などと一緒に大切に保管されているはずです。

定款の中に、「役員の任期」という項目があります。
「当会社の取締役の任期は、選任後〇年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時までとする」
この「〇年」が、あなたの会社の役員の賞味期限です。これが何年なのか、まずは正確に把握しましょう。

アクション2:法務局で「登記簿謄本」を取得する!

次に、会社の登記情報がどうなっているか、最新の「登記事項証明書(登記簿謄本)」を取得して確認します。これは、会社の住所地を管轄する法務局の窓口や、郵送、オンラインでも取得できます。 登記簿謄本の「役員に関する事項」という欄を見てください。
ここに、あなたの名前と「取締役」という肩書、そして「就任」の年月日が記載されているはずです。

問題は、最後に登記された日付がいつかです。

もし、定款で定めた任期が「2年」で、最後の登記から2年以上が経過している場合…、残念ながら「登記忘れ」の状態にある可能性が非常に高いです。

アクション3:もし「登記忘れ」だったら…?

万が一、登記忘れが発覚した場合でも、すぐに諦める必要はありません。
まずは、慌てずに以下の対応を検討しましょう。

  • すぐに司法書士に相談する:遅れてしまった登記(登記懈怠:とうきけたい、といいます)の手続きを、大至急行いましょう。ただし、この場合、法務局から過料(罰金のようなもの)の通知が来る可能性が高いことは覚悟しておく必要があります。
  • 他の役員や従業員の経験が使えないか検討する:もし、社長のあなた以外に、過去に建設業の役員経験がある人がいたり、長年会社を支えてくれているベテラン社員がいたりすれば、「チームで経管の要件を満たす」という新しい方法が使えるかもしれません。

ただし、これらの判断は非常に専門的で、ケースバイケースです。自己判断は危険ですので、必ず専門家に相談してください。

まとめ:会社の健康診断としての「登記チェック」を習慣に!

建設業許可は、会社の信用力を高め、事業を大きく飛躍させるための重要なパスポートです。そして、そのパスポートを手に入れるための鍵を握るのが、「常勤役員等」です。

どれだけ素晴らしい技術や実績があっても、法律で定められたルール、特に「登記」という会社の基礎体力を証明する部分でつまずいてしまっては、元も子もありません。

  • 役員には「任期」があること
  • 任期満了のたびに「重任登記」が必要なこと
  • 建設業許可の役員経験は「登記簿謄本」で証明すること

この3つのポイントを、ぜひ覚えておいてください。
そして、年に一度の決算報告と同じように、あなたの会社の「登記」がちゃんと最新の状態になっているか、定期的にチェックする習慣をつけましょう。それが、あなたの会社と、あなた自身の貴重な経験を守るための、何よりもの対策なのです。

「ウチの会社、もしかして…?」と不安になった社長さんへ

「登記簿謄本を取ってみたけど、見方がよく分からない」
「とにかく許可を早く取りたいが、何から始めていいか分からない」
「経管になれそうな人が、本当にウチの会社にいるのか診断してほしい」

建設業許可の申請、特に「常勤役員等」の要件は、会社の歴史や状況によって、検討すべきポイントが千差万別です。インターネットで調べても、自分の会社にピッタリ当てはまる答えを見つけるのは、なかなか難しいものです。

そんな社長さん一人ひとりの状況に合わせて、最適な解決策をご提案するのが、私、武藤の仕事です。

ただ書類を作るだけではありません。
社長さんのこれまでのご苦労や会社の歴史を丁寧にお伺いし、登記簿謄本やお手元にある書類を紐解きながら、許可取得への最短ルートを一緒に探します。
「もうダメかもしれない…」と諦める前に、ぜひ一度、あなたの会社のストーリーをお聞かせください。

初回のご相談(1時間)は無料です。

無理な勧誘は一切いたしません。「ちょっと話を聞いて、専門家の意見を知りたい」というだけでも大歓迎です。
社長さんが安心して本業に集中できるよう、全力でサポートいたします。

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この記事を書いた人

長崎県佐世保市で許認可申請・相続・自動車登録を扱う行政書士です。

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